PBMの心得

〜アクションを書く時の心得〜


その三、『物語』が人に与える心理作用


『物語』の登場人物に感情移入すると、架空の人物と似たような心理状態になるという説があります(反面教師的に、こんな人物になるまいと感じる場合もありますが)。どれほど『物語』が人の心に作用するのか、具体的なデータは私には分かりませんが、PBMをやるようになってから、この説は強ち間違いではないなと思うようになりました。


人の心には「こうされたら、こんな気分になるだろう」といろいろと考えを巡らす働きがあります。ですから、キャラクターがうれしいと思う展開ならば『うれしい』という気持ちになりますし、悲しいと思うような展開が予想できるならば『悲しい』という感情が湧いてきます。 これは、『他人の気持ちを理解する』という大切なプロセスでもありますが、このプロセスは良い感情も悪い感情も心に与えてしまいます。こういった心の動きは、たとえ感情が無いと思われるような人にでも、無意識的に働いています。(厳密に言うと、例外もあるのですが、ここで論じることではないため省略致します。)


上記の心理作用は、意識的にも無意識的にも働いています。特に『生と死』に関わる問題は慎重に扱い、どれほど人の心に影響を与えてしまうのか、その点もよく考慮して、『物語』を作っていくことも大切ではないかと思います。ほんの些細なことでも、意外と人の心に影響を与えてしまうこともあります。それほど気にしない人もいる反面、ちょっとしたことでも気になる人もいます。ですから、大きなテーマならば、慎重過ぎるくらい慎重に扱う心構えを持たないと、大変なことになってしまいます。


読者としての視点で『物語』を読む場合でも、感情移入して感動してしまうこともあります(私に限らず)。となると、PBMの場合、プレイヤーはPCの視点で、『物語の中へ入り込む』訳ですから、普通の視点とはかなり異なります。大雑把に例えるなら、単なる読み手としての視点ならば『客観的に近い主観』で、プレイヤーの視点は『PCを通して、その世界を間近に感じる主観』と、かなり差があります。PCとプレイヤーは別物だとしても、PCが感じたであろう感情は、ダイレクトにプレイヤーへと繋がることも多々あります(内容によっては、それほど影響がない場合もあります)。だからこそ、尚のこと、『物語』を作っていく上では、慎重に慎重に、真摯に真摯に扱っていくゆとり(神経質になるという意味ではなく、広い視野を持つということ)を忘れてはならないと思います。【2004.11.30.】

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