ジェス・ラーディエル〜プライベート・リアクション3

『微笑みと、切なさと』


彼女に会えなくなるかもしれない……。
そう思った瞬間、俺は自分の気持ちを抑えることができなかった。
関係ないってのは嘘だ。
ホントはただの我がままだ。
俺は彼女に対して、こんなに欲が深いとは思わなかった。
離れたくない一心で、あんなこと言っちまった……。
俺は、彼女を失いたくないと思った。
彼女の言ったことが嘘でも真実でも……離れたくなかった。
嘘であって欲しい……と思った。
だが、真実だとしたら……そう思ったら、途端に不安になった。
迷惑だって言われたって……なんてのは嘘だ。
そんなのは自分勝手な想いだってのは分かってたのに……つい言っちまった。
俺はこんなに嘘つきだとは思わなかった。
嘘をついてでも、彼女と離れたくなかった。
だから俺は、『ついていくからな』と言った後、彼女に微笑んだ。
嘘がばれないように……。
不安が零れ落ちないように……。


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