〜PBMについて考えてみよう〜
その四、私が考える『メイルゲーム』の基本 自分で言うのも何ですが……思っていた以上に、『自分は冷静に判断できる』ということを知りました。だからと言って、感情が全く無いとか、そういう意味ではありません。様々な感情を感じつつも、意外と冷静に判断できる面もある……というだけです。とは言え、やはり感情がありますから、間違った判断をすることもありますし、『もうだめだ』とか『ついていけん』とか、ものすご〜く個人的な感情で動くことも多々あります。はっきし言って、自分は未だに『感性で物事を判断している』と感じている部分もあります。感性とは言っても、芸術的な、という意味ではありません。ここで言っているのは『未熟な感性』です。それは傲慢だったり、自分勝手な思い込みだったり、単なる妄想だったりと……所謂『自分だけの世界』のことです。それは『閉じた世界』でもあります。 『ここは私の領域だから、あなたは絶対に入らないでね』……そんな世界です。その世界にだけは、誰も入って来て欲しくないし、その世界だけは私だけのものにしたいのです。誰にも渡したくないのです。 だけど……メイルゲームの世界では、いろんな人たちと『共通の世界』で生きたいと思っています。メイルゲームの基本って、私にとっては『皆と一緒に世界を共有する』ということなのです。メイルゲームには、そういう可能性がたくさん秘められていると思うのです。そのせいなのか、メイルゲームの世界ではマスターの手から逃れられない……シナリオから外れるような発言や、マスター個人にとって受け入れ難い発言は、全て削除される……そう感じてしまうことがあります。……マスターが喜ぶようなアクションをかけないとダメなんでしょうか?……そう思ってしまうのです。ここで述べたのは、ある特定のゲームを言っているのではなく、10年近くメイルゲームと関わってきて、『こういう傾向(閉じた世界で展開する物語)のマスターさんが意外と多い』ということです。 他の人たちは、自分のPCの結果を読んで楽しんでくれるのはうれしいのですが……自分はリアクションの全体的な流れを見ると、どうしても空しさが込み上げてくるのです。なんなんでしょうね……この世界は……PCとして生きようとすればするほど、その世界では『ひとりぼっち』になってしまう面もあるよな〜と感じてしまうのです。 と言うより、『PCがマスターの都合の良い様に扱われている』ようにも見えて、どうも……空しいです。失敗しても良いし、行殺されても良いから、『PCとして動き、PCとして発言したい』という想いがあるのです。たとえ自分のPCが大活躍していても、マスターの都合の良い様に使われて、それで喜ぶような感覚は私には無いのです。むしろ、『PCさんたち全員の気持ちを、ほんの少しでもいいから受け入れて欲しい』と思っています。 例えば、一つのエリアに50人のPCさんたちがいたとして、1人のPCさんの想いを『2パーセント』くらい受け入れたとしましょう。すると、50人のPCさんたちの想いが一つに集まると……『100パーセント』になります。別に『俺だけのPCを大活躍させてくれ』と言っている訳ではないのです。『1人1人のPCさんたちの想いをほんのちょっと受け入れるだけでも、何かが変わる』ということが言いたいのです。だからと言って、アクション自体を均等に扱って欲しいという意味ではありません。そうした判定はかなり不味いと言っても過言ではないかも。私が言いたいのは『心情的には1人1人の想いを受け入れ、アクションの成否は公平に扱う』ということです。感情面(動機)をばっさり斬り捨てるというのも、かなり不味いやり方です。それだと、単に上辺だけ拾っていると認識されるばかりでなく、『PCは一体、なんのために行動してんの?』と、これまたマスターの都合で判定されたと思われてしまうこともあります。(ちなみに、シナリオの『引き』を作るために、PCさんたちに喋らせる……というのは、許容範囲の中に入っていて、まっいいか、という程度です。) ゲームなんだから、そこまで考える必要はないのかなぁ?……そこまで要求するのは押し付けになってしまうのかなぁ?……それこそ、現実的では無い……限られた時間の中で執筆しなきゃいけないし、締め切りに間に合わせるために余計な手間隙はかけていられないし、やはり何かを斬り捨てなきゃ書き進まないし……いろんな事情があると言うのは、分かるのですが……それを理由に、不自然な判定をされると……空しいのです。マスターがもの凄く頑張ってるのはこちらにも伝わってくるし、マスターがもの凄く一生懸命なのも伝わってくるのですが……PCさんたちの『本当の気持ち』が伝わらないのを見ると……どうしても空しくなってしまうのです。PCさんたちは、籠の中の鳥……なのか? それだけはなんとかしたいという想いだけはあります。 私が考えるメイルゲームの基本は、先にも述べました通り『皆と一緒に世界を共有する』ということです。私が願っているのはただ一つ……『PCさんたちの想いをほんのちょっとでも良いから受け入れて欲しい』ということ。(締め切りを守る……というのは『仕事』として考えるならば『守って当然』だと思いますので、これは願いではなく『当り前』だと考えております。)10年近くやってきて『PCさんたちを受け入れてくれている』と感じたマスターさんは10人くらいかな……10年やってきて10人ですよ(遠い目)。あくまでも私の観点ですから、もしかしたら他にもいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも私がお世話になったマスターさんで、安心してプレイできたのは10人でした。 ゲームにはいろんな楽しみ方がありますから、私の考えも『一つの考え』でしかないですし、いろんなタイプのゲームがあっても良いし、むしろいろんなジャンルを楽しみたいとさえ思っています。いろんなジャンルのゲームがあるからこそ、プレイヤーは自分好みのゲームを選択することができますし、好きな世界で思う存分楽しむことができるはずです。……はずなんですが……現状を考えると、やはり複雑な心境を拭い去ることができません。我々は、現状を甘んじて受け入れるしかないのでしょうか?……その疑問は、私の中では消え去ることがないです。【2005.1.23.】 |